新刊書紹介:『デザインのことば 神戸芸術工科大学レクチャーブックス…1』

cover of 新刊書紹介:『デザインのことば 神戸芸術工科大学レクチャーブックス…1』石川九楊、三木健、府川充男、鈴木一誌
発行・発売: 左右社
年:
ASIN: 4903500047
製本: 単行本
価格: ¥ 1,890 JPY

執筆者4人のうち3人は文字を職業的に扱っている。石川九楊は書家。府川充男はタイポグラファー。鈴木一誌はグラフィックデザイナーであるが、その日常的な職務から、文字の生成や(筆記や活字や印刷による)再現の過程を微分的・構造的に、あるいはエモーショナルに分析することが可能となったようだ。
なかでも、書家石川による「平仮名」に対しての見方、「[+]のアンテナを立てて上から降りてくる字を受けようとして、回転して次の字につながろうとしている」といった分析や「ひ」と「と」があると「ひと」と「ひとつの言葉になろうとする」といった衝動を読み取ったり、漢字の書体、たとえば「日」という文字は、隷書体では二次元で描かれるが、楷書体になると「左側の縦画が細く短くなり、右側が太く長くなり」立体的になった文字であると見抜く眼力には驚かされた。
われわれが毎日読み書きしていて、知り尽くしているはずの文字の奥底か、あるいは遠い記憶なのだろうか、こんな豊かな秘密が隠されていて、それを次々に暴かれるとと腰が抜けそうになるではないか!
書家ならではの達見というべきだろう。筆を持ち、墨を紙にしみ込ませることによって、日々、文字を生成させているという、筆記のインタラクションを繰り返すことによってしか見抜くことができなかった真実だと、ぼくはそう解釈している。
この章は、日本語の文字(平仮名、片仮名、漢字)を扱うもの(ようするにすべての日本人なんだけれども)すべてに、一読をすすめたい。
府川の明治期からの活字資料を網羅した労作『聚珍録』の誕生までの職務遍歴もマニアックに楽しめる。